INDOOR CLIMATE

インドアクライメート住宅コンセプトイメージ

 インドアクライメート住宅は年間を通じ外気を閉ざし、バイオスフィア2の実験程ではないが、自ら制御工夫出来る人口的な屋内気候を作り出し、それを考慮したゾーニングにより普通のエアコン1台の設置にて屋内全ての冷暖房を行う事が可能な住宅であり、省エネ基準適合義務化の時代に特別高価な機械設備では無く設備更新費用も安価に抑えられる。今までの快適高性能住宅とは違う設計手法による独自ブランド住宅商品である。

現状の快適高性能住宅の問題点

現状の快適高性能住宅に住まれている場合は10年後、20年後、30年後と設備更新時に新築時の設備費以上に費用がかさんでくる。普段の手入れやメンテナンスも特別な設備を採用すればフィルター1つも高価だったりする。また脚立に昇ったり、床下機器のフィルターを交換したりと面倒だったりする。業者に依頼するとまた費用がかかってしまう。電気代も高騰して費用を抑える為にフィルター交換を控えたり、高価な為に新築時と同じ設備を交換出来ない事があり、本末転倒になってしまう。

エアコン1台のみで冷暖房可能を確認

そこで設備に頼ること無く、設計の工夫のみで解決している人はいないのか探してみると、省エネ住宅の設計は10年以上前とあまり状況が変わっていない様に見える。省エネ住宅が当たり前になって当時の省エネ住宅が普通の家になってしまった事は大きな違いだが。色々と工夫されている省エネ手法がどうしても設置やメンテナンスが面倒で費用が割高な感じがしてしまう。工夫を積み重ねて大変高価になってしまう家など。

自ら10年以上前の高性能住宅フラッグシップモデルに住まいながら日々どの様にしたら快適で費用を抑えられるのかを考えて研究しながら暮らしているが3階建ての家が普通のエアコン1台の設置にて冷暖房が実現可能な事がわかった。

屋内平面気候ゾーニング

インドアクライメート住宅と名付けた平面気候のゾーニングと仕組みを見てみると、冷暖房時にエアコンからの空気が冷暖気循環部分で混ざり合いながら各室へ流れて行く。この時にダクト配管や特別な機械設備を使わずに屋内気候設計の工夫で空気の流れを作り出す点が、今までの空調設計と違う点だ。冷暖気循環部分も特別な室では無く廊下や玄関等を兼ねる事ができる。

屋内平面気候のゾーニング

1階LDK、2階個室でも同じ考え方で可能。室を増やす場合にも冷暖気循環部分に触れる様にゾーニングすれば冷暖房が出来てしまう。

居室のゾーニング方法

3階建てでも考え方は同じである。ちなみに個室ドアもアンダーカット等の一般的な通気方法で良いのでプライベートは保たれる。現在では通気遮音ドアもあるので個室プライベート問題は無くなった。

屋内立面気候のゾーニング

立面気候を見てみても、平面気候と同じ様にまずは冷暖気循環部分に各室が触れるようにゾーニングをする。仕組みは1階のみに設置された普通の壁掛けエアコンからの空気が冷暖気循環部分で混ざり合いながら各室へ流れて行く。さらに立面気候では床下空間をも空気の経路に組み込んでいる事が分かる。この床下空間も特別な設備やダクトを必用としない。今までの一般木造住宅で一番普及している基礎の作り方であり、人通口や基礎換気口も普及した一般的な工法を利用する。

断面気候

サンルームの床からロボット掃除機で基礎の人通口を抜け床下空間を掃除させる事も可能である。床下から各室への吸気は無いので床板に開口を必用としない点も今までの空調設計とは違う点だ。

冷暖気循環部分の仕組み

冬季暖房時

次にインドアクライメート住宅の屋内気候の心臓部、人間でいうと肺に近い冷暖気循環部分を見てみると、暖房時はエアコンで暖められた空気が自然と昇って行き冷気はエアコンで暖められる事を繰り返して循環する。エアコンは1階の腰高程度に取りつけることによりフィルター掃除やメンテナンスが簡単になる。また、床を直接暖める事が出来るので冷暖気循環部分の床は暖かくなる。暖房時の過乾燥には冷暖気循環経路に浴室や洗濯室を経由させる事により対応出来てしまう。洗濯室の電気乾燥の排熱や湿気も暖気循環に取り込む事が出来る。

夏季冷房時

冷房時はこの屋内気候で一番面白い工夫だが、台風の様に上場気流を作り出し気候制御により低気圧部分を作り出す。低気圧部分に集まったエアコンで冷やされた冷気などを最上階の一番高い屋根付近まで人口的に押し上げるのだ。この工夫もダクトや大がかりな機械の仕組みを必用とせずに市販されているサーキュレーターが台風の役割をして冷暖気をかき混ぜてくれる。台風と違う点は人口的な上昇気流が冷気という事だ。これにより最上階まで冷気が循環し各室に送られて行く。

屋内の換気方法

換気に関しては居室全体の換気を冷暖気循環部分で行う。熱交換換気扇はダクト配管やシステムが大がかりな第一種換気が多いが、市販品の壁掛け熱交換換気扇を設置し、居室全室の換気に必要な容量全てを冷暖気循環部分に設置する。こちらも冷暖気循環部分であれば設置高さや位置に要件は無いので、フィルター掃除やメンテナンスがしやすい手の届く高さに設置する。トイレ、キッチンレンジフードは局所換気、夏場や梅雨は浴室、洗濯室等も局所換気に切り替える。局所換気扇も一般普及品を使用する事で設備費用を抑える事が出来る。

冷暖気循環部断面気候の仕組み

エアコンの設置位置

エアコンの設置は屋内全室で1台のみとなる。設置位置は冷暖気循環部の最下階の腰の高さ程度にする。これによりメンテナンスが大変楽になる。自動おそうじ機能が無く安価なエアコンでもフィルター掃除等のメンテナンスが楽に出来、こまめに掃除する事で冷暖房効率も良くなる。床面から近いので暖房時に床も温める事が出来るので平均表面温度を上げ輻射熱の効果も少しだけ期待出来る。

設置例の様にストリップ階段の下に設置する事で目立たない様にも出来る。実際に設置後住人が何日も気が付かなかった。

サーキュレーターの位置

気候制御装置のサーキュレーターは基本は夏季の冷房時に使用するが、冬季の日差しの強い日でエアコン暖房を使わずに日射のみで暖房が出来る日に使用したり、冷暖房をしない時の空気を循環させる事に使用する。設置位置は一番低い玄関の床へ設置する事で床下空間の冷気を一番高い屋根付近まで押し上げる事が出来る。その上部に最上部の屋根付近までの吹抜けを設ける。写真例では屋根最上部付近まで2層が吹抜けている。写真の輻射パネルは使用しない。

玄関に設置する事で特別に床に穴をあけたりする事が不要になる。玄関部分の床下空間との開口はサンルーム同様に一般的な工法の基礎人通口や基礎換気口で可能だ。

玄関上部に吹抜けを設けられない場合も写真例の様にサブのサーキュレーターを玄関床に設置する事で低い位置に溜まった冷気を汲み上げるイメージで1階床の温度を室温に近づかせることになる。

各個室の温度制御

冷暖気循環部分は少し過冷暖房とする事で各室が快適温度になる。寒い暑いは人それぞれで、個室は特に希望温度が違うと思われる。これを解決する為に一般的なパイプファンを各室に設置する。強弱機能がある物であれば冷暖気循環部分からの空気の流れる量を調整出来る。各室の排気もサンルームを通り床下空間から冷暖気循環部分へ戻っていく仕組みだ。全館同一空間の冷暖房としは個室温度の自由度が高い。

基礎断熱工法の選定

基礎の部分の床を出来るだけシンプルに一般普及工法でしかも施工しやすくするため基礎外側断熱工法とする事が望ましい。基礎コンクリートが外気の影響を受けにくく、地中温度を利用できる点でもメリットがおおきい。水平断熱補強も屋内側では無く犬走の様に外側に断熱補強する方が基礎を外気から守るためには良いのではと思うがそこは費用面もあるので採用しない。防蟻機能を備えた断熱材を利用し、断熱材を土台より立ち上げる事により基礎パッキンも通気する普通のタイプでも気密を取る事が出来る、基礎や土台の点検は屋内側から行えるのでかえってメンテナンス性がよくなる。シロアリの予防は特別な事を施工するのでは無く、床下通気の際に採用される屋外周の地中に薬剤を散布する方法にすることで、基礎外側断熱工法の不安要因であるシロアリ予防効果を増すことが出来る。

日差を取り入れる、遮る

昔の家のほうがポカポカあったかい気がする

冬場の日差しによる室の暖かさは高断熱住宅よりも昔の住宅の方が暖かい場合がある。屋根や外壁、窓も日差しにより暖められ輻射も含めぽかぽかする。車でも同じ様に外気が寒くても日差しが強いと車内が暑い時がある。これは高断熱住宅では不可能もしくは設備費用がかかってしまう。これを特別高価な設備では無く設計の工夫で実現しようと考えてみた。

高性能住宅にサンルーム?

インドアクライメート住宅ではサンルームやコンサバトリーを日の当たる方向に計画している。高性能住宅の日差しを暖房として取り入れる時の問題点は朝の時点ですでに快適な室温なのに日差しを暖房に取り入れようとすると過暖房になって暑くなりすぎてしまう事で、夜寒くなる頃には日差しが無くなっている。居室と違う空間にする事で暖まりすぎてしまった場合にサンルームから避難する事で、サンルームが過暖房でも日差しを取り入れ暖房し続ける事が出来るのだ。居室との開け閉めにより室温調整をする事や、夏場はサンルームが日射のワンクッションになる事で居室を快適に保つ事が出来る。高気密住宅では焼肉やお好み焼き鍋やすき焼き等も煙やにおいを考えてしまうが、サンルームなら気にならない。ベランピングを楽しむ際に寒さや花粉、風雨等で結局楽しめない場合があるが、いつでもインドアでアウトドア気分を感じられるのだ。ウッドデッキも屋内の為ノーメンテナンスで屋外設置のウッドデッキとは桁違いに長持ちすることが可能となる。

西日を遮る重要性

東西面の窓には夏場の日差しを遮る為に落葉樹や窓の外からすだれ等の簡単で安価な日よけが出来る様に工夫をする。これは重要で、夏場は空気の室温とさらに輻射熱をとても不快に感じてしまうので快適性を良くするためには屋内面の平均表面温度を下げる工夫も必用になってくる。氷柱でも良いが、窓にすだれの方が安価だと言う事だ。FIXの大きな窓や吹抜けに面した窓でも外部にミニバルコニーを設け外から日よけが出来る様にするなどの工夫をする。

空気を捨てるか拾うか

捨てる空気

まず、捨てる空気はトイレ室の換気。キッチンレンジフードの空気も捨てる。これは屋内循環のレンジフードもフィルターも高価の為である。夏場の湿気は捨てる。暖まりすぎたサンルームの空気、サンルームでキャンプギアを使って調理した空気、タバコの煙、車やバイクの排気

拾う空気

冬季の拾う空気はの浴室の湿気、洗濯乾燥機の排熱と湿気。各電気製品の排熱や発生する湿気。あと夏季ではエコキュートの排気というより冷気は屋外作業時などに大変涼しい風が出ているので使える。太陽光発電とエコキュートを組み合わせて沸き上げる事で日中の屋外作業時に涼しい風が出てくるのを拾うのでエコキュートの設置場所を考えたりする。

設置をお勧めする機械設備

出来るだけ機械設備は設けない様にしたいが、お勧めの設備としてあげるなら

太陽光発電システム

太陽光発電システムは、冷暖房の際に電気代がもったいないとエアコンの間欠運転をしてしまいたくなる気持ちや冷暖房を我慢しようとする気持ちを無くすために必用。太陽エネルギーを利用する方法で一番普及していて電気が結局一番便利だから優秀。太陽熱でお湯を沸かす等はメンテナンスや更新費用が割高になる点がオススメ出来ない。もっと普及して安価なら〇

エコキュート

太陽光とセットならオススメ。普及していて種類も価格帯も色々とあり、晴れた日の太陽光発電の余剰電力が使える機器もあるのでタダでお湯が沸く気分になれる。

データロガー

気温、湿度、CO2濃度、気圧、音など。エアコンの設定温度では無く実際の室温が分かるようにしたい。建物の外皮性能によっては冷暖気循環部分のエアコン設定温度と実際の室温に差が出てくるのと、人間の感じる暑い寒いはいい加減なところがあるので気温は必須。湿度管理にも必用。CO2濃度も換気管理に必用。気圧で体調変化しやすい人は必用。音もあれば屋内の変化がわかる。

Wi-Fi

今までの設備が通信する為必用。

エアコンの使い方

冬のアコンは希望室温より高めの設定温度で自動運転をする。風向きは一番下へ下げると床も温めてくれる。寒い日は設定温度を上げる。暖かい日は設定温度を下げる。こんな感じです。個室暖房の様に今すぐ温度は変わらないのである程度先読みする必要はある。サーキュレーターは基本不要である。冷暖気循環部分は温度高めで特にエアコン前が床も暖かいので家中で一番暖かい場所になる。

夏のエアコンは希望温度より低めの設定温度で自動運転をして風向きは一番上にする。サーキュレーターは最上階の天井に届く風量にする。風量が多いほど温度むらがなくなってくる。日差しの強い日中と夜ではエアコンの設定温度を変える。各室のパイプファンも風量の多い物にすると屋内全体の空気循環が早くなるので温度むらが少なくなってくる。

ヒートショックを当たり前に予防

夏季のトイレが暑いのも問題だが冬季の浴室ヒートショックは大問題だ。インドアクライメート住宅では個室から冷暖気循環部分へ出ると少し過冷暖房となっているので一般的な住宅のヒートショックとは温度差が逆転している。寒い日の浴室も冷暖気循環に組み込むので個室より暖かいか同じ程度になる。ヒートショックの危険がある住宅にお住まいだった場合には快適すぎてショックをうけるかもしれない。トイレや玄関、廊下、洗面脱衣室ももちろん快適だ。

サッシのLow-Eガラスの選定

省エネ住宅では冬場の日差しを暖房エネルギーとして取り入れようとするが、そもそも日差しのパワーは取り入れて制御出来ないと考える。カーテン等の開け閉めは結構大変だったりするので全室遮熱Low-Eの1択だ。特にインドアクライメート住宅では遮熱Low-Eガラスでも冬場の日差しの強い日はサンルームが暖まりすぎてしまうので断熱タイプの選択肢は無い。サンルームを温室の様に温度を高くしたい場合もあるとおもうのでその場合はガラス種の選択肢が増える。どの程度まで室温が上げられるか分からないが、暑くなりすぎた場合はサンルームのみの窓を開け排熱してしまえば良いだけだ。

窓を開け風を取り込む季節なんて無い

 屋内の快適性を省エネも一緒に考えると外気が快適温湿度の時に風を取り入れる事が一番良い。しかし花粉や黄砂、土埃で春も秋も窓を開けられる日なんてない事に気が付く。夏のちょっと涼しい日は湿度が高いので窓を開けるとかかえって不快になるので気温にだまされない様にしないといけない。冬は寒いので窓を閉ざす。結局1年間で窓を開けられる日は数日しかないことに気が付く。通風を考える事は効果的ではないのでやめた方が良い事にやっと気が付いた。花粉症対策が実現すれば話は別だが。

階段はストリップ階段

冷暖気循環部は縦へ吹き抜けている空間を2か所は作りたいので一か所は吹抜けでもう一か所はストリップ階段にして空気が流れ循環しやすい様にする。

インドアクライメート参考プラン

INDOOR CLIMATE プラン例

2階建7.28m×7.28m正方形の32坪吹抜面積含む

3LDK+RF+Sun+C

 インドアクライメートのゾーニングから実際のプランを作成した例 

1F 平面プラン
2F 平面プラン
2F平面プラン
RF 平面プラン
RF平面プラン

実験棟モデルハウス(自宅)

普通のエアコン1台での冷暖房実験棟は、インドアクライメート住宅の新築を御検討の場合は御見学御予約頂けます。

脱エアコン、エアコン1台実験棟

この実験棟は輻射パネルも設置してありますが、輻射パネルの運転をせずにエアコン1台のみでの冷暖房が可能です。

また、脱エアコンの家として、エアコンを全く稼働せずに輻射パネルのみでの冷暖房も可能ですので御希望の場合は脱エアコンの家の見学希望とお伝え下さい。